
リアルライフ・セーフティ--サーブの安全性を語る上で欠かせないキーワードだ。ユーロNCAP(欧州自動車アセスメント)ですべてのモデルが5スターを獲得しているのはもちろんだが、実際の道路上でいかに事故を起こさないか、万が一事故が発生した場合にはいかに乗員を安全に保護できるかに、サーブの開発陣は心を砕いている。
実験室の中だけでは語れない、現実的な交通の下での衝突安全性……と書くと、少々お堅い言い方だが、チャイルドシートに座った子供がすぐに眠ってしまったり、シートポジションを異常なまでに前や後ろに設定する人がいる、ということだ。実際、7歳になる息子は走り出して10分も経てば寝息をたてているし、小柄な友人はこれでもかというほどパッセンジャー・シートを前に出して座る。

9-3カブリオレの運転席に座ると、まずセンター・トンネル上というユニークな位置にあるキーシリンダーに目にとまる。膝の前にキーシリンダーがあることで、万が一の衝突時に膝に障害を与える可能性を考慮しての選択だ。1997年には、いち早くアクティブ・ヘッドレストの採用に踏み切った。今では欧州でスタンダード化された機構だが、鞭打ちを緩和する保護装置としてはサーブが世界で初めて採用した。
フロントシートのサイドにはサイドエアバッグが内蔵されており、シート位置がどこにあっても適正な展開ができる。リアシートの安全性にも、早い段階で着目している。セダンやワゴンでは、シートバック上部に備わるビームは後方からの衝撃に対してガードするだけではなく、衝突時に分割可倒式リアシートをロックして荷物から乗員を保護する役割も果たしている。

9-3カブリオレにしても、オープン・ボディながらセダンと同レベルの安全性を目指して開発されており、見事に5スターを獲得している。AピラーやBピラーの強化、リアシート背後のトーションボックス構造など、補強箇所を上げたら枚挙に遑がない。
とはいえ、サーブのフィロソフィでは、万が一に備えつつも、万が一が起こらないことが何よりも重要。だからこそ、サーブは”クルマとドライバーのコミュニケーション”を重視する。私の操作に対して期待通りに動いてくれるクルマ、言い換えれば、素早いレスポンス、一貫したダイレクトなフィーリングを持たせることで、事故を未然に防ぐ。

そう、サーブを運転してスポーティに感じるのは、ラリーの覇者である血脈などといった単純なものではない。クルマとの一体感が感じられるこのクルマの乗り味は、彼らの安全性への理念から生まれたものなのだ。